FOR MEDICAL
INSTITUTIONS

医療法人偕行会 名古屋共立病院

名古屋市中川区

所在地:愛知県名古屋市中川区法華1-172

開設:1979年

URL:https://www.kaikou.or.jp/kyoritsu/

医療ツーリズムの患者を受入れはじめた理由

 今後、日本は人口が減少していくため、法人として病院の機能維持や地域医療の継続を考えた際に、国内の診療報酬だけに頼った医療では限界があると考え、主に中国や東南アジアをターゲットに受入れを始めました。
まず健診から受入れを始め、健診で見つかった疾患を日本で治療したいというニーズから徐々に治療の受入れも行うようになりました。医療ツーリズムとして受入れを行ったのは、2014年からです。
 体制等は受入れと同時進行で整えていきました。受入れ前に委員会を設置し、ある程度の準備はしていましたが、実際に受入れると、様々な患者様がいらっしゃいますので、その都度経験を積んで対応を行ってきました。

基本的な考え方・習慣・宗教が異なることへの戸惑い

 中国の患者様の中には病室をホテル感覚で使われる方もおられ、個室を自分の部屋のように好きに使われた方もいらっしゃいました。スタッフ達は言葉も通じず、習慣・宗教も違う中で医療を提供しないといけないという根本的な不安があったかと思います。その都度、トラブルなどの内容を各科で共有し、病院全体で対応策を検討することで経験を積み、今は日本の患者様と近い感覚で医療を提供できています。

イニシアチブを握るリーダーの必要性

 海外からの患者様の受入れには、リーダーシップをとる人がしっかりとイニシアチブを握り、進めていくことが必要です。お問い合わせがあった時に、まず一番にどのドクターに診てもらえるかから始まります。ドクターが断ってしまうと、次へ進みません。受入れに対して中心となるドクターがいて、ドクターから振り出されたことにスタッフが対応できる組織を作っていくと受入れやすいと考えています。

受入れ体制について

 当法人内の専門部署「国際医療事業部」にお問い合わせをいただきますと、当院の国際医療室へ連絡が入り、受入れについて判断します。その際のポイントは患者情報です。情報をもとにドクターと話し合います。受入れ可能となれば、あとは流れに沿って進めます。最初にいかに、今の状態・既往歴・自国での治療内容などの多くの情報を正確に得ることができるかが重要です。そのためドクターからの要望も聞きながら患者様の情報を正確に得ると同時に、患者様の要望も正確にお伺いして満足度向上に繋げられるように注力しています。
 言語については、現在、英語、中国語、インドネシア語、スペイン語、ポルトガル語に対応できるスタッフがいますので心配はありません。入院時の生活支援に必要な通訳サポートにはポケトークを完備しています。ポケトークを用いてもどうしても伝えられない場合は通訳担当者との電話による通訳対応も可能ですので安心して入院していただけます。
 また外国人患者受入れマニュアルを準備しており、対応する職員は部署ごとのマニュアルを一通り確認することで、対応できるような仕組みを作っています。
 未収金トラブルを防止するため、はじめに概算費用を出し、デポジットのように前払い入金のシステムをとっています。
 中国、インドネシアの方はご家族など団体でいらっしゃる場合もあり、ゆとりのあるスペースで診察できるよう専用フロアを整えており、そこでは受付から会計まで対応しています。病室も外国人患者様専用特別室も用意しています。

●今後について

 体制についてもさらに「国際医療事業部」との連携を強め、専任スタッフの増員、育成をはかり、よりスピーディーに対応できるよう整えていきたいです。当院は循環器、腎臓内科、整形、放射線外科のほか、本態性振戦というふるえに関する治療も力を入れており、強み、特徴をいかして取組みを進めます。

取り組みPOINT

・専用部署の設置でスピーディーに対応、何よりも正確な情報が受入れ判断のカギ
・各部署対応の「外国人受入れマニュアル」作成など現場スタッフの心配・負担を減らす仕組みづくり
・団体のご家族での来日にも対応の専門フロアを用意

独立行政法人
地域医療機能推進機構 中京病院

名古屋市南区

所在地:愛知県名古屋市南区三条一丁目1-10

開設:1947年

URL:https://chukyo.jcho.go.jp/

医療ツーリズムの患者を受入れはじめた理由

 当院には海外での技術指導や外国人医師研修の受入れを実施している診療科があり、そうした診療科への具体的な外国人患者様の診療依頼が受入れのきっかけとなりました。
 また、当院周辺には外国人居住者が多く、日常診療で外国人患者様に対応する機会が少なくないです。私どもは、医療ツーリズムを積極的に行うとしたわけではないですが、当院の治療を海外から受けたい、必要とされている患者様がいるならば受入れを行っていきたいと考えております。例えばですが、「熱傷治療」を受けたいと思われた患者様が海外から来られるという、日本人の患者様と変わらない意識で医療ツーリズムの受入れに取り組んでいます。
 
 受入れ決定に際しては、医療コーディネート事業者から地域医療連携・相談室(患者相談室)に依頼が入り、事業者から診療情報提供書等の提供を受け、まず、診療科にて受入れが可能か否か判断します。次に「医療ツーリズム委員会」にて検討し、最終的には管理者会議で受入れの可否を決定します。
 医療ツーリズム委員会があるため、現場も病院に守られているという意識が生まれ、当事者であるスタッフ間で合意形成を図ることができるため、組織として一体となって対応しようと前向きに進めることができます。

受入れ体制について

 海外からの患者様の受入れが決定後、次にどういう環境を整えていけばいいかの検討が必要です。
 特に通訳の課題が大きく、例えば患者様のご家族や知人が通訳できますと仰ったとしても、実際のところ患者様本人に、どういうニュアンスで伝えられているか、都合のいいところだけを伝えていないか、など問題が有ります。ドクターは図や絵を用いて説明していますが、説明についてはまず医療通訳が理解してからでないと、患者様への説明は出来ません。意思疎通が正しくできていない場合、もし何かあった際に「言った、言わない」の話になってしまいます。遠隔医療通訳サービスを使ったこともありますが、手術などの説明では専門的な話となるため、そのようなサービスを用いても伝わりにくいことが多くあります。

 国際医療コーディネート事業者を介する場合は、必要な時は通訳を派遣してとなるため安心ですが、救急など様々な場面で外国人患者様の受入れを行っていくことにおいて、やはり医療通訳が課題と認識しています。
 他にも習慣の違いにより日本人患者様と同じ対応では様々な問題が生じたことがあり、手術・検査の同意書など書類面の整備も進めてきました。また医療費については未収金を回避するため、事前に概算金額を提示した上で治療を進めることが必要と心得ています。

●今後について

 当院はすべての診療科で受入れができるわけではないですが、それぞれの診療科に得意分野があるのが特徴で、特定の診療科では、先進的医療の提供が可能です。主要診療科を整備しているので、集学的医療を提供できます。
 インバウンドの再開により、当院での治療を希望される方が増えていく場合、通訳の他、さらに事前に準備できる看板や書類の多言語化を進め、充実を図っていきたいと考えております。

取り組みPOINT

・必要とする海外から患者様がいるならば受入れを行っていきたいという風土
・受入れの有無を決定するフローを確立。各部署スタッフが集まり「医療ツーリズム委員会」で審議
・手術・検査の同意書など書類の整備が必要

学校法人藤田学園 藤田医科大学病院

豊明市

所在地:愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98

開設:1973年

URL:https://hospital.fujita-hu.ac.jp/

医療ツーリズム受入れについて

 医療ツーリズムに関して、8割ほどが中国からの患者様になります。当院では日本にいる知り合い、親戚を頼って多くのお問い合わせをいただいていますが、まず外国人患者様から現在どこに住んでいる・病名・どんな状態などの情報を入手します。
 さらに、来日されてからトラブルにならないよう費用についてもお伝えし、治療を受けたいとご判断いただいた場合、国際医療コーディネート事業者さんに渡航に関する手続き等の支援をいただいた上で、受入れを行います。

 国際医療コーディネート事業者を介さない受入れは、患者さんの背景や病状が不明確な場合も多く、病院にとってハードルが高いです。国際医療コーディネート事業者を介することで、病院が安心して患者さんの受入れができることがとても多いです。
 受入れにあたっては、医療以外の滞在に係る様々なフォローが必要になりますが、そういったフォローを国際医療コーディネート事業者に依頼できる部分はお願いし、病院は治療に専念することで、円滑に医療を提供できています。
 医療費についても、通訳を介しての診察などを行うため高額の料金となりますが、国際医療コーディネート事業者が入院費のデポジットなどの説明を担うことにより、受入れがスムーズに進みます。
 また、来日後に治療できないことにならないよう、事前にオンラインで医師が説明するセカンドオピニオンを勧めています。「オンラインセカンドオピニオン」も対応可能で、当院でできる治療や手術を説明することで患者様も安心して来日することができます。

医療ツーリズム患者が満足する医療体制・設備

 中国を中心としたアジア、欧米など各分野でトップリーダーとしてご活躍の方々のために高精度な健診、先進的な医療を提供いたします。様々な分野でご活躍の方が来られることが多いため、セキュリティとプライバシーに配慮できるよう専用部署である「国際医療センター」にて受入れを行っております。また、お子様も含めたご家族や通訳など、大人数で来日された場合でも対応できる待合室・診察室を設けています。
 医療ツーリズムで来日され容態が安定している患者様や健診を行う方が入院する際は、特別室をご利用いただいております。特別室はミニキッチンを設備しているため料理される方も多く、その際、食器など使用するものは国際医療コーディネート事業者が対応されることもあります。
 医療ツーリズムで来日される患者様が日本で治療を受ける理由として、日本の高度な医療とスピードの他、患者一人にかける時間と丁寧さも理由として挙げられると思います。最先端の検査機器を用いて健康状態を把握し、得た結果を豊富な経験を持つドクターが、多角的に評価する人間ドックの他、手術して終わりでなく退院後の栄養指導やリハビリなどの術後のケアも理由の1つだと思います。
 他にも、経過観察の必要な方には定期的に術後の診察を行っています。がん治療後の診察などは、来日していただき再検査を行っていますが、コロナ禍で来日が難しい時期は遠隔での再診察も行っていました。

●今後について

 国際医療センターの診察室が増設されたこともあり、専任スタッフの育成とともにサービスを充実させていきたいです。当院は大学病院のため、様々な疾患に対応し、先進的な医療の提供が可能です。健診から治療までを行うことができますので、海外からの患者様に対しても、当院の医療を積極的に提供していきたいです。

取り組みPOINT

・可能な限り事前に「オンラインセカンドオピニオン」を実施し治療方針を説明
・受入れは国際医療コーディネート事業者と連携し対応
・プライバシーを守り、専用の診察室や待合室を設備した「国際医療センター」

社会医療法人大雄会 大雄会第一病院

一宮市

所在地:一宮市羽衣一丁目6番12号

開設:1974年

URL:https://www.daiyukai.or.jp/organization/daiichi_hospital/

医療ツーリズムの取組について

 コロナ前は特に中国の方からの健診ニーズが高く、そうしたニーズに応えるため、海外旅行者が立ち寄れるような施設・仕組みづくりを目指し取り組んできました。
 以前は当院が一宮市にあるため、以前は名古屋や岐阜への観光の合間に当院で健康診断を受けてもらえるよう、海外の旅行代理店と相談し、健康診断を組み込んだツアーを実施していました。
 新型コロナウイルス感染症が5類となり、外国人旅行客の回復が見込まれます。中国ではなお日本の健診への関心が高く、ツアーで来られる方も多いため、インバウンド需要を見越し、今後は受入れにも取り組み、しっかりとした検査で日本の医療を提供できればと考えています。
 当院では、2002年に全国でもいち早くPET-CTを導入し、日帰りの人間ドックやがん検診でも部位ごとに多彩なコースを用意するなど、予防医療に力を入れています。
 医療ツーリズムで来られる方のほとんどがPET-CT検査を受けられます。PET-CTについては、長年の経験による高精度な検査に加えて、当院ではサイクロトロンによるPET用放射性薬剤が製造可能であるため、ツアーなどで複数名がお越しになられても対応できます。

受入れ体制について

 当院の健診センターでは、専用フロアに診察室、ラウンジ、待合室を設けております。海外からの受診者様は習慣や文化が異なり、その振る舞いを日本人健診者様が不快に感じることが起こるかもしれないため、待機するスペースは分けていました。海外から医療ツーリズムでお越しになった際は個室で待機するプレミアムコースを受けていただいたため、大きなトラブルなく対応できております。
 言語に関して、英語による対応は可能ですが、多言語の対応はなかなか難しいため、旅行業者を通じて、1グループに1名の通訳の同行をお願いし、健診を受ける際の注意事項についてはあらかじめ、「確認書」にて同意・署名をもらっていました。「確認書」では、当院のルールに則り受診することを確認していました。
 検査時には、中国語だけでなく多言語の説明資料等を用いて説明します。例えば、バリウムを飲む検査は注意事項が多くあり、「検査後は水をたくさん飲んでください」など細かく記載しています。同行する通訳の方も医療従事者ではないこともあり、細かなニュアンスまで伝わらないため、説明資料を使用しながら説明しています。
 また、旅行業者を通しての受入れの場合、料金の支払いは、旅行業者からあらかじめ、前金で支払ってもらうことで、トラブルにならないよう対応していました。

●今後について

 PET-CTの検査を中心にその他の検査を付随した健診で受入れをしておりましたが、アルツハイマーの新薬が2024年に承認されれば、それにあわせた検査を医療ツーリズムでも提供できればと考えています。そういった検査をしたのち、実際に日本で治療をしたいとなれば、当院でも受入れができる体制を作っていき、多様な診療科により総合的に実施できればと考えています。医療ツーリズムとして、どこまで受入れるかはありますが、病院として、他の病院との差別化は、当然行っていくべきことです。
 また当院では、2024年10月に健診施設をリニューアル予定で、新しくなった施設でさらに取り組んでいく次第です。予防医療は重要ですので、一次予防から三次予防まですべてを行い、治療後の三次予防、発見する二次予防を行っていくことはもちろんのこと、病気にならないようにする一次予防についても生活習慣の指導なども、健診センターを基点に医療ツーリズムとして実施できればと考えています。

取り組みPOINT

・自院の強みを生かした多彩な健診コース・人間ドックの医療ツーリズムを実施
・注意事項や病院のルール、対応の可・不可などを明確にし事前に書面を交わす

SNS

愛知県医療ツーリズムの
公式SNS

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